期日延期と訴え変更の申立

4月20日
被告側証人尋問・・・の予定でしたが、福岡西方沖地震の余震。
JRがストップ、弁護士さんがやって来れずに5月17日へと延期になりました。

5月7日
法律事務所にて、次回期日に向けての打ち合わせを行う。

5月13日
この日付で、全部で3点の申立書を提出した。
1点目は「訴え変更の申立書」
これまでの訴え内容は私の知識を振り絞って算出したもの。これを基に弁護士さんが細かい部分を見直し、正確に算出し直して出た請求額が785,480円遅延損害金6%。この内容で訴訟を進めるべく、「訴え変更の申立書」を提出。

平成16年(ハ)第95号 未払賃金請求事件
原告 山田 太郎
被告 株式会社PA

訴え変更の申立
平成17年5月13日
宗像簡易裁判所 民事係 御中
〜法律事務所住所〜
原告訴訟代理人 ○○ ○○ 

原告は、下記の通り訴の変更(請求の趣旨及び原因の追加的変更、請求の趣旨の減縮)をする。

-1-

請求の趣旨の変更

第1 平成16年10月8日付原告作成の請求拡張申立の(請求の趣旨)を以下のとおり追加的に変更し、並びに減縮する。
1 被告は、原告に対し、金78万5480円、及び
(1) 内金5万5170円については平成16年2月7日から、
 内金8万4590円については平成16年3月7日から、
 内金8万2350円については平成16年4月7日から、
 内金6万1994円については平成16年5月7日から、
 内金8万8650円については平成16年6月7日から、
それぞれ,支払い済みまで年6パーセントの割合による金員を

(2) 内金23万2754円については判決確定日の翌日から、
支払い済みまで年5パーセントの割合による金員を

(3) 内金17万8872円については平成17年5月25日から、
支払い済みまで年6パーセントの割合による金員を
支払え。

2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決並びに仮執行の宣言を求める。

第2 以上の内、1項についていうと(1)、(3)が追加的変更であり、(2) が減縮である。

-2-

請求の原因の追加的変更

第1 平成16年8月17日付原告作成の支払督促申立書の別紙請求の原因の第6項の別紙(未払い賃金一覧)の平成16年2月分給与の欄に
  出勤日数・・・18日
  契約上の金額・・・基本給・・・¥92,736
  契約上の金額・・・残業手当・・・¥18,522
  請求額・・・基本給・・・¥22,736
  請求額・・・残業手当・・・¥18,522
  未払い合計・・・¥48,522
とあるを
  出勤日数・・・19日
  契約上金額・・・基本給・・・¥97,888
  契約上金額・・・残業手当・・・¥20,018
  請求額・・・基本給・・・¥5,152
  請求額・・・残業手当・・・¥20,018
  未払い合計・・・¥55,170
と追加的に変更する(別紙のとおり)。

第2 同支払督促申立書の別紙請求の原因に
 8 被告は、業として印刷を行う株式会社である。
 9 被告は、平成17年5月21日、原告に対して、同月25日をもって原告 を被告会社から解雇する旨の意思表示をした。
 1O 原告は、被告に対して、本申立書をもって、解雇予告手当の支払いを請求 する。

-3-

11 原告の、被告会社における平成16年2月26日から同年5月25までの3ヶ月間の平均賃金は、日額6922円である。
12 よって,原告は,被告に対し、
@ 雇用契約に基づく平成15年12月25日から平成16年5月25日ま での各月26日(但し平成15年12月のみ25日)から各翌月25日分の未払賃金(基本給、職能手当、能率手当、皆勤手当、残業手当)合計37万2754円と、これに対する各支払期(各翌々月6日)の翌日から支払い済みまで商事法定利率の年6パーセントの割合による遅延損害金
A 未払残業手当23万2754円についての付加金(労働基準法第114条)と、これに対する支払期である判決確定日の翌日から支払い済みまで民法所定の年5パーセントの割合による遅延損害金

B 平成16年5月22日から同年6月20日までの30ヶ日分の解雇予告手当の内同年5月26日から同年6月20日までの26ヶ日分17万9972円と、これに対する支払期の翌日である平成17年5月25日から支払い済みまで商事法定利率の年6パーセントの割合による遅延損害金 の支払いを求める。
と追加する。

-4-

法律上の主張

第1 よって書き@について
1 本申立書において、原告は、各月26日(但し、平成15年12月のみ25日)から各翌月26日までの未払賃金(基本給、職能手当、能率手当、皆勤手当、残業手当)について、それぞれ支払期である各翌々月6日の翌日たる7日以降の遅延利息についての支払請求を追加した。
 このうち下記平成17年1月17日分以外についての請求原因事実は、既に、平成16年8月17日付原告作成の支払督促申立書の別紙の請求の原因の第6項の別紙(未払賃金一覧)において既に主張されている。
 平成17年1月17日(土曜)の9時問の労働分の賃金5957円(時間内 8時間5,152円、時問外1時間919円)については、本申立書において請求の原因として追加的に変更して主張した。
2 また、年6パーセントの割合の遅延損害金を請求するため、被告が会杜であることも本申立書で主張した。

第2 よって書きAについて
1 本申立書において、原告は、未払残業手当についての付加金(労働基準法第114条)の遅延損害金については、判決確定日の翌日から請求することとした。これは、判例によれば付加金支払義務は裁判所の判決があってはじめて発生するとされているため、平成16年10月8日付原告作成の請求拡張申立の(請求の趣旨)中、付加金についての判決確定日までの遅延損害金の支払請求は法律上失当であると考えたためである。

第3 よって書きBについて
1 原告は、本申立書において、解雇予告手当(労働基準法第20条1項)の支

-5-

払請求を追加した。
 解雇予告手当の支払期は権利者が請求した日から7ヶ日である(同23条1項)。そこで、本申立書をもって支払請求として、本申立書提出後の弁論期日である平成17年5月17日から7ヶ日のさらに翌日にあたる平成17年5月25日以降の遅延損害金を請求することとした。
 解雇予告は30ヶ日が原則であるが、使用者が平均賃金(同第12条1項)を1日分支払った日数については短縮できるということとされている(同第20条2項)。原告は、未だ、被告から解雇予告期間について平均賃金の支払いを受けてはいないが、解雇予告期間のうち平成16年5月25日までの4ヶ日分については未払賃金の請求もしており、この請求が認められれば解雇予告手当たる平均賃金の支払いを受けたとみなせるので、この4ヶ日については解雇予告手当の請求は行わないこととした。そこで、原告の被告会社における平成16年2月26日から同年5月25日までの3ヶ月間の平均賃金は日額6922円であるから、6922円×26日=17万9972円を請求することにした。

-6-

関連事実の主張(被告の、原告に対する解雇通告について)

第1 被告は、平成17年5月21日、原告に対して、それまでの給与制から、完全歩合営業への変更を申し込んだ(甲7)。
  この変更の申し込みは、従来の雇用契約を維持させたままでの、単なる雇用契約の条件の変更の申し入れであるとは評価できない。新しい委託下請契約の申し込みであると評価せざるを得ない。なぜなら、この完全歩合営業は、時間当たりの給与額の保障が全く無いこと、申し込みに際して被告から原告に示された書面には明確に「委託下請契約書」と記載されているのであって、原告、被告とも、この契約書が委託契約の契約書であると意識していたといわざるを得ないからである。
  そして、原告と被告の間のそれまでの雇用契約の内容と新しい下請契約の内容に鑑みれば、その契約内容の実現にかかるであろう時間からして、1人の人物が、被用者の義務と受任者の義務とをこなすことは不可能である。とすれば、被告によるこの新しい下請契約の申し込みは、被告による原告の解雇の意思表示と、新しい委託下請契約の申し込みが一体になったものである。

第2 原告は、被告からの解雇の意思表示を受けて、特に争うことなく解雇に応じることとした。原告としては、それまでまじめに勤務してきたにもかかわらず、完全歩合制という屈辱的な申し込みを受けたこと等から、これを機会に被告会
社とは縁を切りたいと思ってのことである。
  但し、次の給料の〆日(同年5月25日)が目前に迫っていたから、どうせなら〆日までは被告会社で勤務したいと考えて、原告にその希望を伝えた。原告はこれを了承した。すなわち、原告は平成17年5月21日に,同月25日をもって原告を被告会社から解雇するという意思表示をしたのである。そのため、原告が被告で勤務するのは同年5月25日までと決まった。
  原告は、同月25日まで被告会社に勤務した。

第3 もちろん、本件で、雇用契約が平成16年5月25日をもって終了したのは、

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単に被告が原告を解雇する意思表示をしたためだけではなく、最終的には、それに原告が応じたためである。しかし、だからといって、原告が自発的に退職したと構成するのはおかしい。一般的にいって、使用者が解雇の意思表示をしても、被用者がそれに応じない限りはその解雇は解雇権の濫用であって無効となりうることから、逆に、被用者が使用者による解雇に応じたときには被用者が自発的に退職したと誤解されがちなだけなのである。
  ところで、原告は、平成16年10月8日付準備書面1Iなどで、解雇に応じたのではなく退職したという言葉を使っている。これは、法律家ではない原告が日常的な言葉の使い方にのっとって退職という表現を使っただけである。
法的には、あくまで、原告が、被告による解雇を争わず受け入れたにすぎない。
  また本件では、当初被告が平成16年5月21日に解雇の意思表示をしているが、結局、原告が被告会社の勤務を終えたのは数日後であった。しかし、このことをもって、原告が解雇には応じず、数日後に自発的に退職したとみるのは不自然きわまりない。原告は、単に、給与の日割り計算の煩雑さを避けるためなどの理由から、わずか数日間、勤務終了の日をずらしたものであって、そのために解雇が退職に変質するはずがない。

第4 なお、世間では、所謂希望退職の勧奨がしばしばなされることがある。これは、解雇とはいえず、被用者に何らかの見返りを与えて自発的に退職させるものである。このような希望退職勧奨を解雇と構成すると、希望退職勧奨には常
に30ヶ日分の解雇予告手当が必要になつてしまい確かに不合理である。そこで、解雇予告手当の支給を不要とするためにも解雇と構成してはいけないのだが、実質的にみても、被用者には見返りがあるから解雇予告手当を支給する必要性も薄く、よって、希望退職勧奨の応じる場合には自発的な退職と構成されよう。
  しかし、専ら被告にとって有利なものでしかない本件の被告からの申し込みでは同様に論じられない。確かに、本件の被告の申し込みを解雇とみると、仮

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に原告が下請契約への変更に応じた場合でも解雇予告手当の支給が必要になるがこれは被告の意思に反する。そこで、解雇と構成するのはおかしいという論法もありうるところだが、それはあまりにも被告に偏った見方であろう。そのような見方が裁判例に取り入れられれば、企業が、下請契約の体裁を借りて、被用者にとって何らメリットのない条件を強要することが横行してしまう。本件では、原告は、たまたままだ年若く、被告会杜ではなく他の仕事をがんばろうとしたから解雇に応じたが、諸般の事情で、原告のようにすっぱりと会社に見切りを付けられず、下請に甘んじる人もいるだろう。そのような人を生まな いためには企業による下請への切り替えをたやすくさせてはならず、そのためには、下請けに切り替えることによって、上述した希望退職勧奨の場合と同程度の見返りが被用者にあるような例外的な場合はともかく、原則としては、下請への切り替えの申し込みは、使用者による解雇と構成しなければならない。

添付書類
申立書副本  1通

以上

-9-

添付書類は支払督促の申立時に添付して〔未払賃金一覧(→■別窓に■)〕の数値のみを修正したもの。今回の掲載は見送ります。
弁護士さんの名前まで伏せる必要はない気がしますけど、一応掲載はしないようにしておきます。ちなみにこの書面には数カ所間違いが・・・。後日訂正書面を提出することになる。

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