第3準備書面提出

これまで全ての原告側主張内容を弁護士さんがまとめ上げた書面を、準備書面という形で提出した。

平成16年(ハ)第95号 未払賃金請求事件
原告 山田 太郎
被告 株式会社PA
第3準備書面
平成17年5月16日
宗像簡易裁判所 民事係 御中
原告訴訟代理人弁護士 ○○ ○○

 原告は,下記のとおり,
平成16年10月8日付原告本人作成の準備書面
平成16年11月24日付原告本人作成の準備書面
平成17年5月13日付原告訴訟代理人作成の訴え変更の申立書,
平成17年5月13日付原告訴訟代理人作成の請求の趣旨及び原因訂正の申立書
平成17年5月16日付原告訴訟代理人作成の請求の趣旨及び原因訂正の申立書
における主張をまとめる。
また,原告の主張に対する被告の認否についても整理する。

第1 本件訴訟の意義
1 平成16年10月8目付原告本人作成の準備書面(冒頭)より

原告が知る限り,原告就労期間中に被告会杜には八名もの人間が入退杜を繰り返しており,その全員が会杜の待遇に不満を持って去っているという状態です。またその多くがこれ以上の関わりを避けたいと,諸機関への報告すら行っておりません。中には心身共に疲れ果て,福岡を去って行った同僚もいます。
 この事態に対し,今ここで誰かが行動を起こさなけれぱ被告はこの先も同じ事を繰り返し,多くの労働者に苦痛を与え続けることになります。その様な事にならない為にも,法律の専門家である裁判所の胸を借りて,本訴訟を意義あるものにしたいと思っております。
2 平成16年11月24日付原告本人作成の準備書面(末尾)より
本件は,管理者である被告が正規の管理を怠った事が原因となって訴訟へと発展しております。正規の管理が行われ,労基署への書類提出がなされていれぱ早期解決が可能だったはずです。

第2 請求原因の整理
1 被告は,業として印刷を行う株式会社である。
2 原告は,平成15年12月22日,以下の約定で,期間を定めずに,印刷工として被告に雇用され,同月25日以降,印刷機械の操作その他の被告の業務に従事した。
(1)勤務時問 午前9時から午後6時まで
(2)休 日 日曜,祝日,土曜日(月2回)
(3)賃 金 別紙未払賃金一覧のとおりである。
(4)賃金支払日 毎月26日から翌月25日分までを翌々月6日に支給する。
(但し,平成15年12月25日分は平成16年2月6日に支給する。)

(5)勤務期間 平成15年12月25日から平成16年5月25日まで
3 原告の勤務状況
(1)原告は,被告に雇用されて以来,平日は毎日被告に出勤し,ほとんど毎日勤務時問を超えて残業し,ときには深夜まで残業していた。
(2)勤務状況の詳細については,別紙未払い賃金一覧のとおりである。
(3)特に重要な点にフいて述べると以下のとおりである。
@ 原告は,1月期(平成15年12月25日から平成16年1月25日ま
での期問)には土曜日が5回ある。このうち原告は,平成15年12月27日と平成16年1月17日土曜に出社しており,あとの3回の土曜日は出社していない。
  ところで,もともと1月期については基本給について県の最低賃金で請求しているから,いくら月3回土曜日に休んでいても,1月17日に出勤している以上は1月17日の1日8時間分の基本給が発生するが,これはまだ支払われていない。
A4月期(平成16年3月26日から同年4月25日までの期間)には土曜日が5回ある。このうち原告は,平成16年3月27日,同年4月3日,同月24日に出社しており,あとの2回の土曜日である同月10日,同月17日は出社していない。
  このうち,同月10日については欠勤扱いとされているが(甲4下段の欠勤4.00の記載),そもそも原告は出杜する必要がない日だったから,欠勤ではない。
  すなわち,本来,4月期に原告が賃金から控除されるのは3日分1万6,250円に過ぎない。しかし,被告は4日分2万1,667円を控除しており,差額5,417円はまだ支払われていない。
B他の月期について,原告は土曜日について月2回は休んでいる。

4 被告は,原告に対し,
(1)平成16年1月17日の基本給(県最低賃金べ一ス) 5,152円
(2)平成16年4月10日の1日分の基本給(1ヶ月13万円の日割)
  5,417円
(留)平成15年12月25日から平成16年5月25日までの残業手当である
24万7,302円の内から既払いの1万9,500円を除いた 22万7,802円
の合計23万8,371円を払わない。
5 被告は,平成17年5月21日,原告に対して,同月25日をもって原告を被告から解雇する旨の意思表示をした。
6 原告の,被告における平成16年2月26日から同年5月25日までめ3ヶ月間の平均賃金は,日額6,922円である。
7 原告は,被告に対し,平成5月13日付原告訴訟代理人作成の訴え変更の申立書をもって解雇予告手当の支払いを請求した。

第3 原告主張の関連事実のうち主なものの整理
1 被告は原告と雇用契約を締結レたのだから,労基法15条に基づき労働条件通知書を交付しなければならないが,それを怠っている。そのため,労働条件について争いが生じている。
 労働条件については,請求原因記載のとおり,別紙未払賃金表のとおり合意されたのであるが,これは,平成15年12月22目の話し合いで,被告から「そんなには出せないが手当で補いたい」と提案があり,結局,基本給については法律の定める条件以上であれば被告の考えるところに従うが,手当については,原告が平成15年12月22日に被告事務所に赴き面接を受けて被告との間で雇用契約を締結し際に持参


していた求人公開カード(甲1)のとおりに支給されるという合意に至ったものである。
2 原告が被告に勤務していた間,時間外賃金については,退社後に3月4月の時間外手当の一部が支払われた(甲4)以外には,全く支払われなかった。
 原告が平成16年2月給与明細を見て時間外賃金が支払われていなかったため,被告にその理由を聞いたところ,被告は「基本給の中に含まれている」と回答してきた。
  原告は,下請委託契約への変更を求められた5月21日にも,給料支払い請求の際に改めて,被告に対して,被告が従業員に時問外賃金を支払わない理由について聞いた。すると被告は,「残ってしないといけないような内容ではなかった」,「動作が遅いから」,「居た時間全部を払えと言うのはおかしい」,「残っても出来ず,翌日して,結局技術の未熟な分まで全部私達に払えと言うのか?」等の説明をした。このとき,3月,4月の時間外手当の一部のみ支払われたが,その根拠も「仕事内容を見てこれだったら払っても良いかなと言う分だけ」とだけ説明された。
3 なお,原告就労期間中に被告会杜に入退杜した8人のいずれも,原告同様,時間外労働に対する割増賃金の支払を会杜から受けていない。
4 被告は,平成17年5月21日,原告に対して,それまでの給与制から,完全歩合営業への変更を申し込んだ(甲7)。この変更の申し込みは,被告によるこの新しい下請契約の申し込みは,被告による原告の解雇の意思表示と,新しい委託下請契約の申し込みが一体になったものである。
 但し,次の給料の〆日(同年5月25日)が目前に迫っていたから,被告は平成17年5月21日に,原告に対し,同月25日をもって原告を被告会社から解雇するという意思表示をしたのである。

第4 請求原因に対する被告の認否
1 請求原因第1項について
2 請求原因第2項について

 原告と被告が平成15年12月22日に雇用契約を締結したことは認めておられると考えられる。
 雇用期一間を定めていないことについては,現在までは明らかに否認されてはいないようである。
 勤務開始日,勤務終了日についての主張と認否については第3項の主張と認否のなかで検討する。
 原告の業務については,被告は,原告が機械の操作に従事したことは認めておられるが,それ以外の業務に従事したことは否認されておられる。
 勤務時間については,原告は午前9時から午後6時までであると主張するものであるが,被告は,これを否認し,その理由として勤務時問は午前8時半から午後5時半まであるといわれる。
 休日については,日曜,祝日が休日であることは認めておられる。土曜日については否認され,その理由として忙しいときは出勤することになっているといわれる。
 賃金については,原告は別紙未払賃金一覧のとおりと主張するものであるが,,被告はこれを否認される。理由としては,最初の3ケ月は基本給7万円,手当無しということであり,それ以降についても同様の条件であると主張されるようである(2004.9.29付答弁書の[甲4]のところに「4ヶ月目以降は仕事内容をみて正社員に出来るかどうか判断します」とあり,同年11.29付準備書面1項に「正社員としての処遇ではなく」とあることから。)。
 賃金支払日について現在までは否認されてはいない。
3 請求原因第3項について
(1)勤務終了日が平成16年5月25日であることは当事者問で争いはない。
(2)勤務開始日を含めて,出杜した日にち,時問については,原告が別紙未払賃金一覧のとおりと主張するものであるが,原告が平成17年5月16日に

未払賃金一覧の内容について訂正させていただいたこともあり,現段階では被告の認否はなされていない(部分的になされているところもある。)。
  この点は,本件の一番の争点であると考えるの下,原告としては,別に意見書を提出して,争点整理の方法について提案申し上げたい。
4 請求原因第4項について
被告は現在まで否認されてはいない。
但し,すべてについて,支払う理由がないから支払っていないとお考えであると思われる。
5 請求原因第5項について
被告は,平成17年5月21日,原告に対して,委託下請契約を勧めたこと自体は認めておられる。
但し,それが解雇の意思表示と新しい下請契約の申込であることについては現在のところ認否はない。
6 請求原因第6項について
現在のところ認否はない。

第5 原告主張の関連事実に対する被告の認否
1 第1項について
  被告が労働条件通知書を交付していないことについては,認否は不明である。この点,2004.11.8付答弁書4ぺ一ジ2の@には,被告が「原告に労働条件を通知した」旨主張されているが,これが口頭で通知したという趣旨か書面を交付したという趣旨かが不明である。
  労働条件が別紙未払賃金表のとおり合意された経過については否認されるものと思われる。原告が,平成15年12月22目に被告事務所に赴き面接を受けた際に求人公開カード(甲1)を持参していたかどうかについては,現段階では認否はないよう

である。
2 第2項について
  原告が被告に勤務していた間,時間外賃金については,退杜後に3月4月の時間外手当の一部が支払われた(甲4)以外には,全く支払われなかったことは認めてお
られる。但し,支払う理由がないから支払わないというお考えであると思われる。
それ以外は否認されている。
3 認否は不明である(具体的には2004.11.8付答弁書4ぺ一ジ2のB)。
4 現在のところ,認否なし。

OCRソフトでのテキスト化のため、誤植の含まれている可能性がある。

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