判例:千代田工業事件

事件名 : 金員支払地位保全仮処分申請事件
事案概要 :  職業安定所の紹介で雇用された労働者が、契約期間満了とともに雇止めされたのに対し、右契約は職業安定所の求人票記載のとおり期間の定めのないものであり、右雇止めは理由がなく無効であるとして地位保全等求めた仮処分申請事例。(申請却下)

裁判年月日 : 1983年10月19日
裁判所名 : 大阪地
裁判形式 : 決定
事件番号 : 昭和58年 (ヨ) 1580
裁判結果 : 却下
出典 : 労働判例419号23頁/労経速報1174号3頁

判決理由 :  求人者が公共職業安定所に求人申込をするには求人票に労働条件を明示してなすものとされているところ、求人申込は職業紹介の要求であって法律上申込の誘引にすぎないが、職業安定法第一八条が求人者に対し労働条件明示義務を公法上の義務として定めている趣旨は戦前のようにありもしない好条件をちらつかせて労働者を勧誘し、実際には劣悪な労働条件を労働者に強いるというような弊害を除去するためと解されること、又求人者が求人票に労働条件を明示する際、それが契約内容となることを当然の前提としているし、求職者も右求人票の記載がそのまま労働契約の内容となることを前提にしてそれを最も重要な資料としてどの企業に応募するか決定していることを考慮すると、公共職業安定所の紹介により成立した労働契約の内容は、当事者間において求人票記載の労働条件を明確に変更し、これと異なる合意をする等特段の事情のない限り、求人票記載の労働条件のとおり定められたものと解すべきである。

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